たよりない“弱いロボット”づくり

AI(人工知能)が広がりIot(モノのインターネット)化が急速に進んでいます。
そんな世の中で、あえて“たよりないロボット”をつくる技術者が話題になっています。
豊橋技術科学大学の岡田教授で、人と機械が交感できる“弱いロボット”を世に出してい
ます。
その理由は、あえて弱点や限界をさらすことで接する人の助力を引き出すことができるか
ら“人の情動に訴えかける弱さが新しい力を生み出せる”と説いておられます。
昔話ロボットは、たどたどしい話しぶりに子供たちが助け舟を出すそうです。たよりない
ロボットはかえって人間を勇気づけ、心のなかから人間の力や能力を引き出し、エデュケ
ーション「内から引き出す」という教育本来の働きをしてくれるように思えます。
産業用ロボットでは、そうもいかないでしょうが接する人の力を引き出すロボットには、
効率優先が求められる技術にない斬新な発想と多様性を示唆しているように思われます。

宇宙へ飛び出す「サラリーマン衛星」

蒲田の下町工場がモデルの「下町ロケット」のTVドラマの続編が始まって、また注目を集めています。2014年12月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」が長い旅をして小惑星リュウグウに来年早々、着陸予定で宇宙への関心が高まっています。
「はやぶさ2」が旅に出たその年、新橋の居酒屋で宇宙好きの3人のサラリーマンが宇宙開発の夢を語り「自分たちの衛星を打ち上げよう」と、会社員や学生たち350人で「リーマンサットスペーシズ」を立ち上げ、“サラリーマンによるサラリーマンのための民間宇宙開発”に挑戦しています。お金も知識もないところから2年弱かけて、重さ約1キロの超小型衛星をH2Bロケットで種子島宇宙センターから国際宇宙ステーションに運び来年3月までに、地球を撮影したり一般の人からのメッセージなど6千通を地上に送ったりするそうです。酒場で語ったサラリーマンの夢が実現する時代、ロマンを感じますね。

IOT時代がやってくる!「熱中症予防シャツ」

地球温暖化のせいでしょうか今年の異常気象にとまどいます。豪雨、突風、落雷、高潮、集中する台風の襲来、なかでも各地で40度を超える気温が連続し「熱中症」被害が広がり、その対策が急がれています。
今、NTTとアシックスが熱中症を予防するセンサー付きのシャツを開発しています。
着ると服の中の温度などをスマートフォンが把握し熱中症の危険度を確認し予防するというシステムです。
屋外で長時間仕事をする人やスポーツをする人、屋内でも熱中症になりやすい病院や介護施設、熱中症になりやすい高齢者への利用を想定しているとのことですので頼もしい味方です。
国も東京オリンピックに向けて“暑さ対策”をハード&ソフトを含め考えていますが、いよいよIOT(物とインターネットの繋がり)によるデジタル社会の実現が加速されそうです。「サマータイム」も始まるのでしょうか―。

「昔の名前」で“進化”しています。

エポック社の「野球盤」の初代は、1958年に木製で発売され遊んだ方も多いかと思いますが、発売60周年を記念した70代目の新作「3Dエース モンスターコントロール」が進化して発売されました。磁石を使った変化球、消える魔球や放物線を描いてスタンドに飛び込む本塁打を打てると進化し70代目は、内角高めを狙えたり、球速やコースを表示する電光掲示板付きと進化して登場です。
もう一つは、ソニーのロボット犬「aibo」で2006年には一旦生産を終了しましたが今年の1月に復活し「机の下開発魂」として注目されましたが、人工知能(AI)を搭載して発売され日本では2万台越を販売済ですが、世界でも販売されます。
“飼い主の表情や発言、触り方などを自ら分析して感情をあらわす機能つき”で、体も丸みを帯び瞳が動く新型に衣替えしての登場です。見本市では「キュート」と好感触だそうです。“昔の名前”も時代の波でしょうか。

食料品加工の新しい働き手!

人口減による人手不足は、産業界にとって深刻な要因ですが、単純労働をロボットに任せ限られた人手を付加価値の高い仕事に回そうと、自動化の技術進化が始まっています。
産業用ロボットの出荷先は、半導体などの電気機械が40%、自動車が30%を占めますが食品加工分野にも広がっています。この分野はまだ2%程ですが、わが社でも進出しています。産業ロボットは、技術進化と人手不足が普及の後押しをしてくれています。
すでに稼働しているジャガイモの有毒な芽を取り除くロボットは、1個あたりの作業時間は2秒でフライドポテトやサラダなどの加工現場で活用されています。
北海道では水産加工場でホタテの殻をロボットでこじ開け貝柱を切り取る作業では、1分あたり90杯で手慣れた従業員11人分の働きですから、高齢化や人手不足の現場ではなくてはならない新時代の“従業員”の役割を担っています。

家電の世紀から「IoT」「AI」

1920年代(大正4年)に二股ソケットや電気アイロン、扇風機が登場して日本の家電元年が始まり、50年には白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫の「三種の神器」の普及が始まりました。
60年には電子レンジ、カラーテレビへと家庭の電化製品が豊かな暮らしを演出します。
1970年(昭和45年)、わが社が創業し技術革新の波に乗り日本経済の成長を支えていくことになりました。家電100年の進化のなかで、2000年代に「新、三種の神器」、デジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビが登場し生活スタイルの多様化に家電も対応してきましたが、2017年代に入り総合家電メーカーは一社になってしまいました。その家電メーカーも自動車部品の製造など家電以外の比率を高めています。家電というジャンルから新たな、あらゆるものをネットにつなぐ「IoT」「AI」の技術を駆使した進化をみせています。2020年、創業半世紀を迎えるわが社は未来を支える新技術で応援してまいります。

人口減をカバーし「新3K」をもたらすロボット

東京オリンピックの特需が終わりに近づく建設業では、建設技能労働者が2025年には2014年の342万人から216万人に減ると計算しています。今後、インフラの回収などが増えると考慮し約350万人が必要になるが、新たに就職する人では補いきれない35万人分の働きをロボットを活用してまかなうとして、すでに積極的な活用が始まっています。
資材を自動で運ぶ搬送ロボットや鉄骨を溶接して柱をつくるロボット、床のコンクリートをコテでならす仕上を担うロボット、重い材料などを持ち上げる時に作業員の腰の負担を軽減するロボットスーツなどが活用されています。かつて建設現場は「きつい、汚い、危険」の3Kの代表格とされていましたが、これからはロボットの活用によって人は複雑な作業に注力し、魅力ある職場に転化すれば高い「給料」、長い「休日」、「希望」がもてる“新3K”に変わると期待されています。当社も新しい技術で支援してまいります。

素敵な「おもちゃドクター」との出会い

「おもちゃドクター」三浦康夫さん(71)の話に出会いました。
三浦さんは子どもの頃、おもちゃで遊ぶより「どういう仕組みで動いているのか」に興味を惹かれ、おもちゃを分解して遊んだ方で大学も工学部に進み、仕事も自動車メーカーの技術者として40年以上、エンジンの設計に携わり、その後「おもちゃドクター」として「おもちゃ病院」を開設されたそうです。
「治せなかった患者さんはほとんどいません」と、自作の工具を駆使して月の半分以上はおもちゃドクターとして過ごされています。
治療の終わったおもちゃを手渡した時の子供の笑顔を見るのが楽しいと語っておられますが、私たちの手作りした製品をお客様に手渡しするときは、三浦さんと同じような嬉しさを感じます。
「好きなことで喜ばれる、こんな幸せはないですね」と語る三浦さんに、ともにエンジニア魂を見た気がします。

科学立国は「リケジョ」から

“リケジョ” 理工系女子と呼ばれて話題になりましたが、どうやら科学技術立国ニッポンの復活の鍵は女子中高生にあるようです。
現在のIT技術者に占める女性の割合は13%程で、内閣府も女性の研究者の割合が米国の半分以下だとして力を入れています。
特に女性が少ない分野は科学、技術、工学、数学で英語の頭文字から「STEM(ステム)」と呼ばれ、日本は他国と比べてステムの分野に進む人の男女比に不均衡があると指摘されています。そこで、女子学生が理工系の職場見学や仕事体験をする「理工チャレンジ」の実施や、筑波大学の2泊3日の「リケジョサイエンス合宿」が開催され、中高生約100人が参加したり、東京理科大でも「科学のマドンナ」と題して理系出身者を招いての講演会などを開いています。リケジョのノーベル受賞者も夢ではなさそうです。

技術進歩と机の下開発魂

ソニー用語に「机の下開発」という言葉があるそうです。有志の技術者たちが空き時間を使って試作機器や得意の技術を伸ばす技術開発のことで、12年前に生産終了したソニーのイヌ型ロボット「aibo」を復活させ、戌年の今年1月に発売、ブームになっています。

ホンダの発明大会も技術者魂に挑戦するコンテストで話題ですが、我が社にも「机の下開発魂」があり、世に送り出した製品もあります。作業の油汚れ洗浄から生れた石鹸「クオリオ」や爪をやさしく研ぐ「爪みがき」等です。

一時はロボット開発から撤退したソニーですが、技術者は終了後も画像や音声認識、力を制御する技術を密かに研き、いま生かせる技術を総動員してAI搭載の2代目「aibo」で“ロボットで人々の生活をより刺激的に、豊かにしたい。アイボの復活は我々の挑戦のスタートにすぎない”と語っています。成長とは変革の大切さですね。