ロボットで蘇る恐竜時代、古代生物が語る未来への展望

かつて地球を支配した巨大生物、恐竜。その姿を模した「恐竜ロボット」は、古生物学へのロマンと最先端技術が融合した、魅力あふれる存在です。

20世紀後半、恐竜ロボットは主にエンターテイメント用途として開発され、遊園地や博覧会などで来場者を楽しませていました。しかしこれらのロボットは、機械的な動きで恐竜の姿を再現することに主眼が置かれており、現代の目で見ると、その動きはややぎこちない印象を与えます。

しかし、技術革新により恐竜ロボットは大きく進化しました。21世紀に入り、コンピュータ制御技術やセンサー技術が飛躍的に進歩するとともに、よりリアルで複雑な動きを模倣した動作や、インタラクティブな機能を備えるようになりました。
さらにAI技術が進化したことで、音声認識や学習能力を備え、観客の言葉に反応して対話が可能となったり、人間との対話や動きのパターンを学習し、よりスムーズな行動が出来るようになりました。

教育現場においては、化石や映像だけでは伝えにくい恐竜の生態や動きを、子供達はまるでSFの世界が現実となったかのような体験をしながら、興味深く学ぶことができます。
また、ロボット工学の分野では、恐竜の骨格や筋肉の構造を模倣することで、新しい歩行メカニズムや駆動システムの開発に繋がる可能性も期待できるでしょう。

恐竜ロボットは、エンターテイメントから教育、研究、そして実用まで、幅広い分野で私たちの未来を豊かにする、非常に興味深い技術です。
太古の恐竜たちが、現代の科学技術の粋を集めたロボットとして蘇り、新たな価値を生み出すというのは、まさにロマンと驚きに満ちていますね。

人に寄り添う、稲穂型歩行支援機

名古屋工業大学の佐野明人教授らの研究チームが、動力を必要とせず、人の歩行を支援する「稲穂型歩行支援機」を開発しました。
従来の歩行支援機「ACSIVE」がばねによる直接的な力で脚を補助するのに対し、「稲穂型歩行支援機」は、ロボットの腰部に取り付けられた重りの上下運動を活用し、間接的な力で歩行を支援します。

具体的には、歩行時の上下運動に伴い、腰に装着された重りがピアノ線を稲穂のようにしならせ、その反動を利用して脚の動きを補助します。この仕組みによって歩行リズムが整い、足取りが軽くなり、人が本来持つ自然な歩行能力を引き出すことが可能です。

この技術の特徴は、「装置の力に頼るのではなく、自分の力で歩ける」という実感を利用者に与える点です。これにより、高齢者や障害者の方々の自信を高め、さらなる歩行への意欲を引き出します。稲穂型歩行支援機は、人間が持つ可能性をそっと後押しし、歩く楽しさと未来への希望を提供する象徴的な技術と言えるでしょう。
また、この技術は「人間中心のものづくり」の重要性を示す好例でもあります。

AIやロボティクスなどの先端技術が急速に発展し、便利さや効率性が進む一方で、「稲穂型歩行支援機」のように、人間の自立性を尊重し、五感に響く技術が私たちの「人間らしさ」を守ってくれるのではないでしょうか。今後、このような人に寄り添うアプローチがますます重要であると感じています。

我が三信精機も、人間らしい生活を支えるものづくりを理念として掲げ、社会に貢献する技術と製品の開発に引き続き力を注いでまいります。

共創を紡ぐ出会い、大田区からスタートしましょう

2025年2月、大田区蒲田で「Meet New Solution in OTA 2025」が開催されます。
このイベントは、社会課題を解決する新しいソリューションを生み出す企業が、大田区の町工場やベンチャー・スタートアップをサポートする企業との出会いを通して、新しいイノベーションを創出し、持続可能な未来を実現していくことを目的としています。

大田区の町工場では、個々の工場が高度な技術力と豊富な経験を持っているだけではなく、それぞれの工場がどのような技術や設備を持っているかを熟知しており、必要に応じて互いに協力し合う『仲間まわし』の文化が根付いています。地域全体としての技術力の高さが、ベンチャー企業の独創的なアイデアを形にするための試作品製作や量産化を力強くサポートします。一方、ベンチャー企業は、斬新な発想とスピーディーな事業展開で、町工場に新しいビジネスチャンスをもたらします。

このように、大田区では町工場とベンチャー企業がお互いに協力し、共創していくための理想的な環境が整っているため、「ベンチャーフレンドリーのまち」として知られています。つまり、新しいことに挑戦する企業にとって、とても心強い場所なのです。

共創を成功に導くために大切なことは、自社と共通のビジョンをもち、自社に不足するリソースを補完できるパートナーとの出会いだと感じます。「Meet New Solution in OTA 2025」は、革新的なアイデアと大田区のものづくりの技術力が融合し、新たな価値創造の扉を開く、まさに「出会い」の場となることでしょう。

2025年、新たな挑戦の幕開けです。
私たち三信精機も、同じものづくりに携わる企業として、このような出会いを通して生まれるイノベーションを心から応援しています。皆様にとって飛躍の一年となるよう、本年も全力で取り組んでまいります。

日本の航空宇宙技術遺産がつなぐもの

国立科学博物館が所蔵する純国産民間輸送機「YS-11」と、純国産の固体ロケット開発の礎となった「ペンシルロケット」が、今年4月に日本航空宇宙学会から「航空宇宙技術遺産」に認定されました。

日本はかつて、世界屈指の航空機大国と評されるほどの技術力を誇っていましたが、第二次世界大戦後、航空に関する一切の活動が禁じられ、多くの航空機や関連技術が失われました。
それから7年後の昭和27年、この制限が解除され、純国産の航空機を開発する取り組みが国を挙げて始まりました。その成果の一つが、民間輸送機「YS-11」です。

「YS-11」は量産型として初めて製造された機体であり、「ペンシルロケット」は日本のロケット技術の出発点といえる重要な実験機です。この2つの機体は、日本が航空機やロケットの技術を発展させてきた歴史を象徴しています。
今回の「航空宇宙技術遺産」への認定は、これらの技術開発に尽力した先人たちの努力や工夫を広く伝えるきっかけとなり、次世代を担う技術者や研究者たちにとっても、貴重な学びの機会となることでしょう。

こうした技術の積み重ねがあるからこそ、私たちが普段利用する旅客機の航空技術や、ロケットを活用した宇宙開発が飛躍的に進化しているのだと感じます。
今後も日本の技術が世界で輝き続けるために、先人たちの知恵を受け継ぎながら、先端技術への挑戦を続けていくことが大切です。

夢を形にする未来の科学技術

空を自由に飛べる「タケコプター」や、どこへでも行ける「どこでもドア」など、
誰もが一度は「ドラえもんのひみつ道具」を使ってみたいと夢見たことがあるのではないでしょうか。現代の科学技術は、かつては空想の産物と思われていたドラえもんのひみつ道具を、現実のものに近づけつつあります。

たとえば、食べるだけでどんな言葉でも通じるようになる「ほんやくコンニャク」は、
ポケットサイズの翻訳機やスマートフォンアプリ、さらにテレビ電話を活用した通訳サービスなど、言葉の壁を取り除く技術によって、すでに実現できていると言えるでしょう。

また、写真の料理をひと口だけ味見できる「味見スプーン」は、NTTドコモが現在開発中の
「FEEL TECH(フィールテック)」によって、その実現に近づいています。
フィールテックは、味覚、嗅覚、触覚といった五感を共有できる技術で、この技術が確立すれば、映画やドラマに登場する料理の味を、家や映画館で体験できる日が来るかもしれません。
新しいエンターテインメントの楽しみ方や、より豊かなコミュニケーションの形が生まれる可能性に胸が高鳴ります。

多くの科学的な発明や技術は、かつて誰かが空想した未来像や夢から始まっています。
ドラえもんのひみつ道具は、未来の科学技術が私たちにもたらす無限の可能性、そして私たちが、その技術とどう向き合っていくべきかを考えるきっかけを与えてくれる存在です。

パラスポーツの進化を支えるテクノロジー

2024年夏のパリ・オリンピックでは、日本代表選手が素晴らしい活躍を見せてくれました。現在、パラリンピックが開催中です。さまざまな障がいを持つパラアスリートたちが、創意工夫を凝らしながら限界に挑む姿は、多くの人々に感動と勇気を与えるとともに、共生社会の実現に向けた意識改革を促しています。

近年、スポーツ義肢や装具、用具は、競技や選手の特性に合わせたテクノロジーの導入により、目覚ましい進化を遂げています。この技術革新により、これらの用具は単なる補助具の役割を超え、パフォーマンスの可能性を広げるための強力なツールとして機能しています。

たとえば、3Dスキャナーやモーションキャプチャーなどの機器を使って、選手が感じる微細な感覚を「見える化」することが可能になりました。これにより、選手の体と一体化した精度の高い用具を、従来よりも迅速に開発できるようになっています。
さらに、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といったデジタル技術も、パラスポーツの訓練やリハビリにおいて重要な役割を果たしています。これらの技術は、実際の競技場を再現したり、特定の動作を繰り返し練習したりする際に非常に有用です。

今後も、パラアスリートの記録向上にテクノロジーの進歩が大きく貢献していくことは間違いないでしょう。パラアスリートが魅せるパフォーマンスの進化に日本のものづくりの力が大いに寄与することが期待されます。

広がるロボットの技術進歩と可能性

ロボットの開発・導入を促進する専門技術展「関西ロボットワールド2024」が5月30日・31日にインテックス大阪で開催されました。

今回の展示会では、ロボットメーカーだけでなく、AIやシステム関係の出展が多く見られました。特に、ロボットに動作を教え込むティーチングや専門技能の省力化に焦点を当てた展示が多く、専門知識がなくてもロボットを活用できる環境作りが進められていることを感じます。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の展示では、災害現場や宇宙空間などのデータが収集しづらい環境下で、コンピュータグラフィックス合成画像を用いたAIによる障害物検知など、宇宙空間におけるロボット技術の応用が示されてました。

関西ロボットワールド2024は、AIやシステム技術と融合した次世代ロボットの可能性を広く示しました。これらの技術は、人手不足という社会課題の解決だけでなく、新たな産業の創出や、私たちの生活の質の向上に貢献することが期待されます。

私たち三信精機も、現場の工程改善から未来社会におけるロボットの可能性を広く探っていき、人とロボットの共生を目指していく所存です。

海の豊かさをつなぐ「水中ロボット」

7月に入り、海や川などへレジャーに行く楽しい季節となってきました。日本の海は豊かな海洋環境に恵まれ、多種多様な水産物が獲れることで知られています。これらの水産物は、多くの日本人の食卓を彩り、優れた栄養特性を持っています。

しかし、日本の水産資源は年々減少の一途をたどっており、その持続可能な利用が課題となっています。SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にもあるように、乱獲や環境汚染の影響で日本だけでなく世界的に水産資源の枯渇が深刻化しています。

この課題を解決するために期待されているのが水中ロボットです。水中ロボットとは、人が到達できない海中や海底で、海洋資源の調査やモニタリング、漁業のサポートなど、多岐にわたる役割を果たしています。

養殖場では、水中ロボットが餌やり、成長した魚の特定水域への誘導、密猟者の監視、ごみや死魚の回収など、さまざまな作業を行います。また、近年は省エネルギー浮力制御システムや新しいエネルギー源から電力を供給する技術が開発されています。これらの進展は、効率的な資源管理と持続可能な漁業に大きく貢献しています。

今後も技術革新と共に、その性能と活用範囲は広がり、海と私たちの食卓を守る強力なパートナーとなることでしょう。水中ロボットの進展に注目です。

AI/XR技術が拓く、共生社会の未来

XR(クロスリアリティ)とは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの「仮想世界」技術の総称です。ゲーム産業の技術としてよく知られているXRですが、近年は障害者の支援ツール開発に活用されるようになりました。

XR技術を施した「スマートグラス」は、視覚障害のある方に映像処理を行い、障害物などの危険を認識できるようサポートします。
また、聴覚障害のある方には、AIテクノロジーと融合したツールで周囲の情報を字幕で見せるなど、頼もしいガイド役として活躍します。

障害の有無に関わらず互いを尊重し、支え合いながら共生する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念に基づき、障害者の自立と社会参加の促進が求められています。
その課題解決に向け期待されているのが、近年、目まぐるしい進化をし続けているAI、XRといった最先端テクノロジーの力です。

私たち三信精機も様々な技術動向に注目しながら、テクノロジーを活用した先端技術で、未来を創造していく挑戦を続けていく所存です。

「スマート農業」がもたらす日本農業の新時代

「スマート農業」という言葉を聞いたことがありますか?これは、AIやIoTなどの最新技術を駆使して農業を革新する新たな取り組みです。私たちの日常生活でもスマートフォンやスマート家電が身近になりましたが、農業においてもスマート化が進んでいます。

現在、日本の農業は労働力不足という課題に直面しており、農業従事者の数は今後20年間でおよそ4分の1にまで減少すると見込まれています。
農林水産省は、労働力を確保し、食料の供給体制を維持するため、ドローンやAIなどを用いたスマート農業の普及を加速しようとしています。

スマート農業の活用事例としては、ロボットトラクターでの耕起作業の自動化、リンゴやナシの自動収穫ロボット、AI画像解析での生育診断、病害予測できるモニタリングサービスなどがあります。

今後は、スマート農業が日本の農業を強く、持続可能なものへと革新させる鍵となるでしょう。精密機器の開発を担う三信精機も、新しい時代に応える先進的なものづくりで、課題の解決に取り組んでまいります。