「かかりつけ医」とロボットの交流

英国の「かかりつけ総合診療医」は、患者の心身の不調だけでなく様々な悩みに対応します。例えば身寄りのない高齢の患者が唯一の楽しみである“テレビが壊れた”と訴えて来たときテレビの故障は本人にとって一大事ですから医師はすぐに往診し、診療と合せテレビの修理業者を手配し患者の悩みを解消します。

1999年世界初の癒しのイヌ型ロボット「アイボ」を発売したソニーは、2006年に家庭用ロボットから撤退しましたが新たにハードとサービスを組み合わせたロボットに進出します。

高齢者の話し相手や癒し、赤ちゃんをあやすロボットが活躍していますが、仲間と楽しくおしゃべりするだけで薬を飲まなくても痛みが消える例もあり、英国ではこうした効果を「社会的処方」と称して活用しています。

治療をしながら高齢者の健康自立を支えるソーシャル技術に挑戦してまいります。

 

どないかします

鷲田清一さんが執筆される「折々のことば」(朝日新聞)に、東大阪の工場主の言葉として「どないかします」が紹介されました。

「町工場のまち、東大阪でよく聞かれることば。部品のみならず、遊びのコマから人工衛星までつくってきた。どう考えても無理、採算も合わん、けどこの人の必死の思いをかなえてやりたい…と、この一言でどんな難しい注文も請け負う。(略)」-とても愛情にあふれた文章が綴られています。

町工場の蒲田も同じ思いで、求められる技術や仕事に対する姿勢は西も東もないと感じました。関西では「どないかします」、関東では「なんとかします」となりますが、なぜか言葉の持つ響きの違いに驚きます。鷲田さんは「人の求めに応える喜びと、無理に挑む楽しさとがあってはじめて口にできるせりふだろう」と書かれています。「どないか」と「なんとか」、二つの言葉の響きと温もりの違いを感じるのは私だけでしょうか。

未来のエジソン育成に期待!

日本の学校教育は、オールマイティーで協調性のある人間を育てるには適しているという指摘がありますが、いま教育の形を見直そうという動きがあります。
なかでも、東大先端科学技術研究センターが中心になって進める「異才発掘プロジェクト」は、小中学生を対象に才能があるのに学校教育になじめなくコミュニケーションが苦手だったり、興味が先走ったりするエジソンのような子どもの突出した才能を世界のトップランナーに育てようという教育の場づくりが始まっています。日本の大学教育は東大を頂点にしたシングルピーク構造ですが、これをアカデミックスクールと職業教育を重点にしたプロフェッショナルスクールの2つのツインピークス構造にし、ローカル経済圏で活躍できるレベルの高い専門知識・技術をもった人材育成をしようという動きもあります。私たちの企業のように技術で支える現場にとっては、未来の若きエジソンたちに期待です。

筆記用ペンのミニ歴史

充填技術は我が社の専門技術の一つで、化粧品や食品、筆記具など様々な分野を手がけています。油性ボールペンは71年前の1943年、ハンガリーでラディスチオ・ピロによって開発され世界に広がりました。その後、水性やゲルインキボールペンなどが日本で開発・発売されています。古代の筆記用具は、アシの茎を使ったのが最初で、古代エジプトではペルシヤの沼地に成育したアシを3月に刈り、6か月間程ねかせて美しい光沢や黄色や黒色のまじった、あでやかな色を出す最高のペンを作ったそうです。アシの次には鳥の羽を使った羽根ペンが登場し、鷲鳥や白鳥、梟や孔雀、ペリカンなどの羽が使われています。その後ペンは金属に変わり、鋼や真鍮、金などが使われ、ペン先には耐久性のあるイリジウムやオスミニウムが使われた”万年筆”が誕生します。

一本のペンにも発展の歴史と進歩、そして技術の宇宙が詰まっているのが見えてきます。

夜空に輝くダイヤモンドの星

精密機械作りの中で「研磨」という作業はとても重要な仕事で、研磨には人工ダイヤモンドが活躍しています。工業界の中でもダイヤモンドは高価な素材ですが、このダイヤモンドが大量に存在する惑星があることが分かってきました。

2012年「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」誌に、40光年離れた「かに座55番e」という惑星は主に炭素で出来ており、大量の炭素がダイヤモンドを形成している可能性があるというのです。この惑星の大きさはわかりませんが、惑星の地層の3分の1がダイヤモンドだろうと推定されているそうですから驚きです。また、天王星と海王星にもダイヤモンドの層が存在するだろうとの論文も発表されており、宇宙は”宝の星”ですね。

夕日、朝日を見る子どもたちが少なくなったと言われていますが、親子で夜空を見上げながら遙かな宇宙にロマンを感じる時も欲しいものですね。