名古屋工業大学の佐野明人教授らの研究チームが、動力を必要とせず、人の歩行を支援する「稲穂型歩行支援機」を開発しました。
従来の歩行支援機「ACSIVE」がばねによる直接的な力で脚を補助するのに対し、「稲穂型歩行支援機」は、ロボットの腰部に取り付けられた重りの上下運動を活用し、間接的な力で歩行を支援します。
具体的には、歩行時の上下運動に伴い、腰に装着された重りがピアノ線を稲穂のようにしならせ、その反動を利用して脚の動きを補助します。この仕組みによって歩行リズムが整い、足取りが軽くなり、人が本来持つ自然な歩行能力を引き出すことが可能です。
この技術の特徴は、「装置の力に頼るのではなく、自分の力で歩ける」という実感を利用者に与える点です。これにより、高齢者や障害者の方々の自信を高め、さらなる歩行への意欲を引き出します。稲穂型歩行支援機は、人間が持つ可能性をそっと後押しし、歩く楽しさと未来への希望を提供する象徴的な技術と言えるでしょう。
また、この技術は「人間中心のものづくり」の重要性を示す好例でもあります。
AIやロボティクスなどの先端技術が急速に発展し、便利さや効率性が進む一方で、「稲穂型歩行支援機」のように、人間の自立性を尊重し、五感に響く技術が私たちの「人間らしさ」を守ってくれるのではないでしょうか。今後、このような人に寄り添うアプローチがますます重要であると感じています。
我が三信精機も、人間らしい生活を支えるものづくりを理念として掲げ、社会に貢献する技術と製品の開発に引き続き力を注いでまいります。
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